研究対象構造物

自分の研究は鉄筋コンクリートシェルを対象とし、固定荷重・風荷重及び地震荷重を用いて構造解析を行う。

解析の対象とするものは以下のものとする。

  • 屋根型シェル
  • 冷却塔

1.1. 研究の背景

 鉄筋コンクリート(以下、RC)構造物が世界規模として、どこにも建設されている。近年では、先進国でのRC構造物が少なくなっているとは言え、強度が必要とされる構造物や発電所に欠かせない冷却塔と言った重要な構造物は全てRC構造である。

 RC構造の有限要素解析は、1967Nago[1-[i]]によってRC梁の非線形有限要素解析に適用されて以来、様々な大規模RC構造物の設計やモデルシミュレーションが行われている。

 有限要素法を用いてRC構造物の弾塑性挙動を精度良く追跡するためには、コンクリートのひび割れ、損傷、塑性に関する構成則関係のモデル化が重要となる。そのため、コンクリートの複雑な材料非線形性を評価する様々な構成則モデルが提案されてきた。

 既住のコンクリート構成則には、物理モデルと現像モデルの2つに大きく分別できる。前者の物理モデルは、コンクリートの微視的構造を幾何学的に規定し、コンクリートの非線形性や破壊を支配する微視的な耐荷機構を直接的に考慮するモデルである。物理モデルに属する構成則は、数少ないが破壊力学における引張応力下の結合力モデルとして、Horii[1-[ii]]のモデル等が挙げられる。又、圧縮応力下の構成則に関しては、荒井ら[1-[iii]]による非連続体モデルを用いた粘弾塑性サスペンション要素法や、長谷川[1-[iv]]によるマイクロプレーンモデルが挙げられる。

 確かに、コンクリート構成則において微視的機構を考慮することは、解析モデルに力学的合理性や理論的な明解さを与え、巨視的な強度破壊特性や寸法効果等を深く把握することが可能である。しかしながら、多大な計算量と材料定数の設定より、有限要素解析への適用性に問題がある。

 後者の現像モデルは、コンクリートにおける非線形性の発生機構を特に意識せず、見かけの応力-歪関係を記述する構成則モデルである。既住のコンクリート構成則は、現像モデルに属するものが殆どであり、非均等材料であるコンクリートの微視的な耐荷機構が直接反映されないが、数値計算量物理モデルと比較して少ないため、有限要素解析への適用範囲が広いと考えられる。

 既住の現像モデルとしは、Gerstle[1-[v]]の体積係数とせん断係数による亜弾性モデル、Dawin[1-[vi]]の等価1軸応力-歪関係に基づく直交異方性モデル、Chen[1-[vii]]らの完全弾塑性理論に基づくモデル等がある。亜弾性モデル、最大耐力前において単調載荷を受けるコンクリートの平面圧縮応力状態に対しては良い精度が得られるが、最大耐力近傍での体積膨張や最大耐力後の圧縮軟化を評価できない。

 等1軸応力-歪関係に基づく直交異方性モデルは、主応力軸と共に、方向が回転する等価1軸歪に関して損傷を評価するため、コンクリートの損傷異方性を十分に追跡できない。完全弾塑性理論に基づくモデルは、応力テンソルの不偏量I1、偏差応力テンソルの不偏量J1,J2を考慮した適切な降伏関数及び塑性ポテンシャル関数を選定することによりコンクリートの多軸強度特性を良好に表現することが可能である。又、コンクリートの必要材料定数が比較的少なくて済むという実用的な利点がある。しかしながら、コンクリートの最大圧縮強度以降の歪軟化現象を適切に表現することができない。

 又、これらの既住の現像モデルは、繰り返し載荷に関して、圧縮剛性低下等の劣化性状を考慮していない。世界的に地震の多い日本等の環太平洋諸国では、繰り返し荷重下でのRCシェル構造物の力学的性状を検討することは重要な問題と考えられる。

 近年では、中村ら[1-[viii]]が、トラス置換法に基づき、放射状に配置された4本の部材をエネルギー的に等価な平面要素に置換し、これらの4本の部材の履歴挙動でコンクリートの弾塑性挙動を表現する格子モデルを提案した。

1.2. 研究の目的

 前節で述べたこれらの現象モデルは、主歪方向及び主歪量に依存した構成則モデルであるため、せん断応力が支配的な応力状態での政府繰り返し挙動を追跡する上で、数値解析上困難な点多いと考える。

 以上の研究の現状を踏まえて、加藤ら[1-[ix]]は、主歪方向を意識せず繰り返し載荷においても適用可能な構成則モデル、放射・環状形格子モデル(以下、格子モデルと略称)を提案し、Kupfer[1-[x]]及びDarwin[1-[xi]]の実験結果との比較でRC造構造物の解析モデルとしての妥当性を立証した。本研究は、この格子モデルとファイバモデルを用いて、RC梁及びHPシェルといった鉄筋コンクリート板を解析し、許容応力度設計法及び膜応力解との比較より、本格子モデルの適用性の検討を目的とする。

 本研究で用いる格子モデル(放射・環状形格子モデル)は中村らの解析モデル(織格子モデル)と同様、トラス置換法に基づき放射状に配置される4本の部材とリング状に配置される部材32本を、エネルギー的に等価な平面要素に置換し、これらの計36本の部材の履歴挙動でコンクリートの単調載荷から繰り返し載荷下での応答まで表現するモデルである。ここで、置換法とは、部材でコンクリートそのものを類似させるかどうかということではなく、各部材の応力、歪、剛性及び強度をコンクリートの特性に等しくすることを意味する。


[1-[i]] D.Nago.A.C.Scordelis :Finite Element Analysis of Reinforced Concrete Beam,ACI,J.,1967

[1-[ii]] Horii.H : Mechanisms of fracture in brittle disordered material, Fracture Processes in Concrete, Rock and Ceramics

[1-[iii]] 荒井正直、船見晃啓、黒川善幸、森博嗣、谷川恭雄:非連続体モデルを用いたコンクリートの破壊解析手法、日本建築学会構造系論文報告集、第471号、1995

[1-[iv]] 長谷川俊昭:マイクロプレーンコンクリートモデルの開発、東京大学学位論文、1994

[1-[v]] Gerstle K.,H. :Simple formulation of biaxial concrete behavior, J. of ACI,1981

[1-[vi]] Darwin,D. and Pecknold, D.A. : Analysis of RC Shear Panels under Cyclic Loading, Proceeding of ASCE,1976

[1-[vii]] W.F.Chen : Plasticity In Reinforced Concrete, McGraw-Hill International Book Company,1982

[1-[viii]] 中村博志、加藤史郎、高山誠:格子モデルによる構成則とその鉄筋コンクリート円筒シェルの有限要素解析への適用、構造工学論文集、1994

[1-[ix]] 加藤史郎、原隆、中村博志、高山誠、大家誠、前田佐登男:放射・環状形格子モデルによるコンクリート構成則の開発と正負繰り返し載荷を受けるRCシェル有限要素解析への適用、1997

[1-[x]]Kupfer,H.Hilsdorf,H. and Rush,H.: Behavior of Concrete under Biaxial Stress,1969

[1-[xi]]Darwin,D. and Pechnold,D.A. : Analysis of RC Shear Panels under Cyclic Loading,1976

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